○薩摩川内市伝統的建造物群保存地区保存条例

平成16年10月12日

条例第113号

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第143条第1項の規定に基づき、市が、都市計画に定める伝統的建造物群保存地区に関し、現状変更の規制、その他その保存のため必要な措置を定め、もって市の文化的向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 伝統的建造物群 法第2条第1項第6号に規定する伝統的建造物群をいう。

(2) 伝統的建造物群保存地区 法第142条に規定する伝統的建造物群保存地区(以下「保存地区」という。)をいう。

(保存計画)

第3条 薩摩川内市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、保存地区が定められたときは、伝統的建造物群保存地区保存審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴いて当該保存地区の保存に関する計画(以下「保存計画」という。)を定めなければならない。

2 前項の保存計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 保存地区の保存に関する基本計画に関する事項

(2) 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物その他の工作物(以下「伝統的建造物」という。)及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件の決定に関する事項

(3) 建造物の保存整備計画に関する事項

(4) 建造物及び建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件に係る助成措置等に関する事項

(5) 保存地区の保存のため必要な管理施設及び設備並びに環境の整備に関する事項

3 教育委員会は、第1項の保存計画を定めたときは、これを告示しなければならない。

4 保存計画を変更しようとする場合においては、第1項及び前項の規定を準用する。

(現状変更行為の規制)

第4条 保存地区内における次に掲げる行為については、あらかじめ、市長及び教育委員会の許可を受けなければならない。

(1) 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の新築、増築、改築、移転又は除却

(2) 建築物等の修繕、模様替え又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの。

(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更

(4) 木竹の伐採

(5) 土石類の採取

(6) 水面の埋立て

(7) 屋外広告物の設置又は変更

2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる行為に該当する行為で次に掲げるものについては、同項の規定による許可を受けることを要しない。

(1) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

(2) 次に掲げる工作物(建築物以外の工作物をいう。以下同じ。)の新築、増築、改築、移転又は除却

 仮設の工作物

 水道管、下水道管、井戸その他これらに類する工作物で地下に設けるもの

(3) 次に掲げる木竹の伐採

 間伐、枝打ち、整枝等木竹の保育のため通常行われる木竹の伐採

 枯損した木竹又は危険な木竹の伐採

 森林病害虫等防除のための木竹の伐採

 自家の生活の用に充てるために必要な木竹の伐採

 仮植した木竹の伐採

(4) 前3号に掲げるもののほか、次に掲げる行為

 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為

 鹿児島県公安委員会及び道路管理者が行う道路標識等の設置又は管理に係る行為

 農林漁業等を営むために行う行為。ただし、次に掲げるものを除く。

(ア) 建築物等の新築、改築、増築、移転又は除却

(イ) 用排水施設又は幅員が2メートルを超える農道若しくは路肩部分及び屈曲部の改修

(ウ) 宅地の造成又は土地の開墾

(エ) 森林の択伐又は皆伐(林業を営むために行うものを除く。)

3 市長及び教育委員会は、第1項の許可を与える場合には、保存地区の保存のため必要な限度において条件を付することができる。

(許可の基準)

第5条 市長及び教育委員会は、前条第1項各号に掲げる行為で次に定める基準(市長にあっては、第8号に定める基準)に適合しないものについては、同項の規定による許可をしてはならない。

(1) 伝統的建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、これらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における当該伝統的建造物の移築を含む。以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物の位置及び移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(3) 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(4) 伝統的建造物以外の建築物等の新築、増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、これらの行為後の当該建築物等の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(5) 前号の建築物等の移転については、移転後の当該建築物等の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(6) 第4号の建築物等の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(7) 前条第1項第3号から6号までの行為についてはそれらの行為後の地貌その他の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

(8) 前各号に定めるもののほか、当該行為後の建築物等又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼす恐れがないものであること。

(国の機関等に関する特例)

第6条 国若しくは地方公共団体の機関又は文化財保護法施行令(昭和50年政令第267号)第4条第5項の国又は地方公共団体の機関とみなされる法人(以下「国の機関等」という。)が行う行為については、第4条第1項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関等は、第4条第1項の許可に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、市長及び教育委員会に協議しなければならない。

(行為の通知)

第7条 次に掲げる行為については、第4条第1項及び前条の規定は適用しない。この場合において、第4条第1項の許可又は前条の協議に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、市長及び教育委員会にその旨を通知しなければならない。

(1) 都市計画法(昭和43年法律第100号)による都市計画事業の施行として行う行為

(2) 都市計画法による国、県若しくは市又は当該都市計画施設を管理することとなる者が当該都市施設又は市街地開発事業に関する都市計画に適合して行う行為

(3) 河川法(昭和39年法律第167号)第3条第1項に規定する河川又は同法第100条第1項の規定により指定された河川の改良工事の施行又は管理に係る行為

(4) 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)又は農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)に規定する林地荒廃防止施設の災害復旧事業に係る行為

(5) 道路法(昭和27年法律第180号)による道路の改築(小規模の拡幅、舗装、勾配の緩和、線形の改良その他道路の現状に著しい変更を及ぼさないものに限る。)、維持、修繕又は災害復旧に係る行為

(6) 地方公共団体又は農業等を営む者が組織する団体等が行う農業構造、林業構造の改善に関し必要な事業の施行に係る行為

(7) 法第27条第1項の規定により指定された重要文化財、法第78条第1項の規定により指定された重要有形民俗文化財、法第92条第1項に規定する埋蔵文化財又は法第109条第1項の規定により指定され、若しくは法第110条第1項の規定により仮指定された史跡名勝天然記念物の保存に係る行為

(8) 鹿児島県文化財保護条例(昭和30年鹿児島県条例第48号)第4条第1項の規定により指定された鹿児島県指定有形文化財、同条例第25条第1項の規定により指定された鹿児島県指定有形民俗文化財、同条例第30条第1項の規定により指定された鹿児島県指定史跡、鹿児島県指定名勝又は鹿児島県指定天然記念物の保存に係る行為

(9) 薩摩川内市文化財保護条例(平成16年薩摩川内市条例第112号)第4条第1項の規定により指定された薩摩川内市指定有形文化財、同条例第26条第1項の規定により指定された薩摩川内市指定有形民俗文化財、同条例第34条第1項の規定により指定された薩摩川内市指定史跡、薩摩川内市指定名勝又は薩摩川内市指定天然記念物の保存に係る行為

(10) 郵便差出箱の設置又は管理に係る行為

(11) 電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第4号に規定する電気通信事業の用に供する線路又は空中線系及びこれらに係る電気通信設備を収容するための施設の設置又は管理に係る行為

(12) 公衆電話施設の設置又は管理に係る行為

(13) 放送法(昭和25年法律第132号)第2条第2号に規定する基幹放送又は有線テレビジョン放送(有線電気通信設備を用いて行われる同条第18号に規定するテレビジョン放送をいう。)の用に供する線路又は空中線系(その支持物を含む。)及びこれらに係る電気通信設備を収容するための施設の設置又は管理に係る行為

(14) 電気事業法(昭和39年法律第170号)による電気事業の用に供する電気工作物の設置(発電の用に供する電気工作物の設置を除く。)又は管理に係る行為

(15) 水道法(昭和32年法律第177号)による水道事業若しくは水道用水供給事業、工業用水道事業法(昭和33年法律第84号)による工業用水道事業の用に供する施設又は下水道法(昭和33年法律第79号)による下水道の排水管若しくはこれを補完するため設けられる施設の設置又は管理に係る行為

(許可の取消し等)

第8条 市長及び教育委員会は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、保存地区の保存のため必要な限度において、第4条第1項の規定によってした許可を取り消し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて、建築物等の改築、移転又は除却その他違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができる。

(1) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した者

(2) この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者、若しくはした者

(3) 第4条第3項の規定により許可に付した条件に違反している者

(4) 詐欺その他不正な手段により、第4条第1項の規定による許可を受けた者

2 市長及び教育委員会は、前項の規定により処分をし、又は必要な措置をとることを命じようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴き、かつ、当該処分又は措置を命ずべき者について聴聞を行わなければならない。

(損失の補償)

第9条 市長は、第4条第1項の許可を受けることができなかったことにより、損失を受けた者に対して申出により通常生ずべき損失を補償するものとする。

(経費の補助等)

第10条 市長は、保存地区内における建築物等及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件の管理、修理、修景又は復旧について、自ら保存のため適当な措置を行い、又は当該物件の所有者等に対し、その経費の一部を補助することができる。

(審議会の設置等)

第11条 教育委員会に審議会を置く。

2 審議会は、市長及び教育委員会の諮問に応じ、保存地区の保存等に関する重要事項について調査審議し、及びこれらの事項について市長及び教育委員会に建議するものとする。

(委任)

第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長又は教育委員会が別に定める。

(罰則)

第13条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。

(1) 第4条第1項の規定に違反した者

(2) 第8条第1項の規定に基づく命令に違反した者

(施行期日)

1 この条例は、平成16年10月12日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の入来町伝統的建造物群保存地区保存条例(平成13年入来町条例第13号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

3 この条例の施行の日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(平成17年3月31日条例第9号)

この条例は、平成17年4月1日から施行する。

(平成23年9月26日条例第30号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 放送法等の一部を改正する法律(平成22年法律第65号。以下「放送法等改正法」という。)附則第7条の規定により旧有線放送電話法(放送法等改正法附則第2条の規定による廃止前の有線放送電話に関する法律(昭和32年法律第152号)をいう。以下同じ。)の規定の適用についてなお従前の例によることとされる旧有線放送電話法第3条の許可を受けている者が行う有線放送電話業務の用に供する線路の設置又は管理に係る行為については、この条例による改正後の第7条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

薩摩川内市伝統的建造物群保存地区保存条例

平成16年10月12日 条例第113号

(平成23年9月26日施行)